フローサイトメトリーによるマルチプレックスELISAの手順

マルチプレックスELISAの概要と原理

ヒトサイトカインマルチプレックスアッセイは、サイズと蛍光強度によって分けられた複数のビーズ集団を利用します。各ビーズサイズに複数サイズのビーズと複数レベルの蛍光強度を用い、GeniePlex技術によりわずか15μLのサンプル量のみで24検体を同時に測定可能です。

ビーズ集団は、シングル488nmレーザー光もしくは488nmと633/640nmのデュアルレーザー光を装備したフローサイトメーターにより測定されます。ビーズ判別用の最大蛍光波長は700nmです。

ビーズベースのイムノアッセイはサンドイッチELISAの原理に似ています。ビーズ上に結合している捕捉抗体が、サイトカインのようなサンプル中の対象タンパク質を捕捉します。捕捉された因子は、タンパク質の別エピトープを認識するビオチン標識抗体によって挟まれ、ストレプトアビジン-フィコエリスリンと反応させます。そして、ビーズ上のフィコエリスリンの蛍光強度をフローサイトメーターによって数値化します。

サンプル中の測定対象タンパク質の濃度は、濃度既知の因子を連続希釈して得られる標準曲線中から、蛍光シグナルを比較することにより得られます。

アッセイ手順は、抗原とビーズ上の捕捉抗体を結合させるインキュベーションステップ(60分間)と、ビオチン標識抗体を結合させるインキュベーションステップ(30分間)、ストレプトアビジンPEを反応させるインキュベーションステップ(20分間)からなります。

マルチプレックスELISAのビデオ手順

マルチプレックスELISAの手順概要

1. 手順の概要:

1.) Genieplex抗体標識ビーズをウェルに添加する。2.) サンプルとスタンダードをウェルに添加する。室温で60分間、サンプルをインキュベートする。続いて、フィルタープレート吸引システムを使用し、プレートを3回洗浄する。3.) ビオチン標識抗体を加え、30分間インキュベートする。続いて、フィルタープレート吸引システムを使用し、プレートを3回洗浄する。4.) ストレプトアビジンPE溶液を加え、20分間インキュベートする。続いて、フィルタープレート吸引システムを使用し、プレートを3回洗浄する。5.) リーディングバッファー液を加え、フローサイトメーターでサンプルを測定する。6.) データを解析する。

手順

番号
  1. フィルタープレートのテンプレートを準備する。スタンダードとサンプル、ブランクウェルをマークする。スタンダードとサンプルは二重または三重で実行する必要がある。もし全プレートを使用しないのであれば、使用しないウェルをプレートシールでシールする。重要:プレートの底面が触れることがないよう、アッセイ中はフィルタープレートをフィルタープレート蓋の上部に置く。
  2. ビーズ懸濁液を15秒間ボルテックスする。
  3. 捕捉ビーズ懸濁液を45μLずつそれぞれのウェルに添加する。注意:残りの捕捉ビーズ懸濁液は遮光して2〜8℃で保管する。これはフローサイトメーターのセットアップ時のパラメータ取得作業に使用できる。
  4. フィルタープレート洗浄手順に沿って調整した、真空源に接続した”flow-through(流入式)”フィルタープレートウォッシャーを使用してウェル内のバッファーを除去する。
  5. プレートの底面をペーパータオル上に優しくタップし、残留バッファーを除去する。
  6. CCS (Cell culture supernatant)、SPB (Serum/Plasma/Bodily Fluid),あるいはTL (Tissue/cell lysate) アッセイバッファー30μLをそれぞれサンプルウェルに添加する。注意:細胞培養上清サンプルでは、非常に低レベル(20 pg/mL未満)のサイトカインが見込まれる場合、アッセイバッファーで希釈することなく実行することができます。この場合、このステップを飛ばし、次のステップ7で各サンプルウェルに細胞培養上清サンプル45μLを添加します。
  7. サンプル液15μLを各サンプルウェルに添加する。
  8. スタンダード45μLを各スタンダードウェルに添加する。
  9. プレートをプレートシールでカバーする。
  10. シェーカー (700rpm回転にセット)で60分間室温にてインキュベートする。フィルタープレートはアルミホイルで包み遮光する。
  11. プレートシールをはがす。
  12. フィルタープレートウォッシャーを使用し、100μLのウォッシュバッファーでウェルを3回洗浄する。
  13. 最後の洗浄後、プレートの底面をペーパータオル数枚に優しくタップして、底面に残留したバッファーを除く。
  14. 各ウェルに25μLのビオチン標識抗体溶液を添加する。
  15. プレートをプレートシールでカバーする。
  16. シェーカー(700rpm回転にセット)で30分間室温にてインキュベートする。フィルタープレートはアルミホイルで包み遮光する。
  17. プレートシールをはがす。
  18. フィルタープレートウォッシャーを使用してウェル内の溶液を除去する。
  19. フィルタープレートウォッシャーを使用して100μLのウォッシュバッファーで3回洗浄する。
  20. 最後の洗浄後、プレートの底面をペーパータオル数枚に優しくタップして、底面に残留したバッファーを除く。
  21. 各ウェルに25μLのストレプトアビジンPE溶液を添加する。
  22. プレートをプレートシールでカバーする。
  23. シェーカー(700rpm回転にセット)で20分間室温にてインキュベートする。フィルタープレートをアルミホイルで包み遮光する。
  24. プレートシールをはがす。
  25. フィルタープレートウォッシャーを使用してウェル内の溶液を除去する。
  26. 100μLのウォッシュバッファーでウェルを2回洗浄する。
  27. プレートの底面をペーパータオル数枚に優しくタップして、底面に残留したバッファーを除く。フローサイトメーターのサンプルローディング機構に応じて、ビーズを再懸濁するために150〜300μLのリ―ディングバッファーを各ウェルへ添加する。
  28. プレートシールでプレートをカバーする。
  29. マイクロタイターシェーカーにプレートを置き700rpmで30秒間シェイクする。注意:もしフローサイトメーターに96ウェルプレートローダーがなく200μL以上のリーディングバッファーがビーズの再懸濁のために必要な場合、プレートをシェイクしないでください。P200ピペットを用いて各ウェルのビーズを6〜8回ピペッティングして再懸濁し、テストチューブに移してください。
  30. プレートシールをはがす。
  31. フローサイトメーターで解析する。